副業禁止はなぜ?会社員・公務員のルールと違反リスクを解説

会社員と公務員の副業禁止ルールや違反時の処分を比較するミドル世代の男性 副業

副業禁止の主な理由は、本業への支障、情報漏えい、競業、信用低下の防止です。会社員と公務員では、根拠となるルールや違反時の判断が異なります。

会社員の副業は、法律で一律に禁止されているわけではありません。一方、公務員は国家公務員法や地方公務員法による制限があり、原則として事前の許可や承認が重要になります。

この記事では、「副業禁止の会社で働いたらどうなるのか」「公務員は2026年から自由に副業できるのか」という疑問に、裁判例や最新制度を交えながら分かりやすく答えていきます。

まず、会社員と公務員の基本的な違いを確認しておきましょう。

比較項目 民間会社員 公務員
主なルール 就業規則・雇用契約 国家公務員法・地方公務員法・所属先の規程
副業の基本的な扱い 法律による一律禁止ではない 営利企業への従事などが法律で制限される
事前手続き 許可制・届出制など会社ごとに異なる 許可・承認が必要になる場合が多い
重視される問題 本業への支障、情報漏えい、競業、信用低下 職務専念、公正性、秘密保持、公務への信用
違反時の判断 副業の内容や実害、悪質性を個別に判断 法律や服務規程に基づき懲戒の可能性がある

この記事の重要な結論は、次の3点です。

  • 会社員の副業は、法律で一律に禁止されていない
  • 無断副業をしても、必ず解雇されるわけではない
  • 国家公務員の2026年の制度見直しは、副業の全面自由化ではない

副業をしたという事実だけでなく、勤務時間、仕事内容、会社への損害、情報の扱い、本人の立場まで含めて判断される点が大切ですよ。

副業禁止はなぜ?会社が制限する4つの理由

会社が副業を制限するのは、主に本業への支障、情報漏えい、競業、信用低下を防ぐためです。

厚生労働省のモデル就業規則では、労働者が勤務時間外に副業・兼業を行えることを基本としつつ、一定の場合には会社が禁止または制限できる規定例が示されています。

主な制限理由は、次の4つです。

  • 本業への労務提供に支障がある
  • 企業秘密が漏えいする
  • 競業によって会社の利益が害される
  • 会社の名誉や信用を損なう

ただし、モデル就業規則は、すべての会社へそのまま適用される法律ではありません。

会社が就業規則を作成するときの参考例であるため、実際の取り扱いは、自分の勤務先の就業規則や雇用契約書で確認する必要があります。

本業への支障や長時間労働を防ぐため

副業で深夜まで働き、翌日の本業で遅刻や居眠りを繰り返せば、会社としては見過ごせません。

特に注意したいのが、本業と副業の両方で雇用契約を結ぶ「雇用型副業」です。

労働基準法第38条第1項では、労働時間に関する規定を適用する際、事業場が異なる場合でも労働時間を通算すると定めています。異なる会社で雇用されている場合も、原則として通算の対象です。

たとえば、本業で8時間働いたあと、別の会社で2時間アルバイトをした場合、労働時間は合計10時間になります。

ただし、「合計8時間を超えたから、副業先が必ず残業代を支払う」と単純に決まるわけではありません。

どちらの使用者が時間外労働に対する割増賃金を負担するのかは、労働契約を結んだ順序や、それぞれの使用者が把握している労働時間などによって整理されます。

36協定や時間外労働の上限規制についても、すべての責任を一方の会社へまとめて考えることはできません。

雇用型副業を始める場合は、本業と副業先の双方へ勤務時間を正確に申告し、それぞれの担当部署に確認することが大切です。

一方、個人事業や業務委託として仕事を請け負う「自営型副業」は、雇用型副業と同じ仕組みで労働時間を通算するものではありません。

それでも、睡眠不足や疲労によって本業へ支障を出せば、就業規則上の問題になる可能性があります。

会社側から見ると、雇用型副業では労働時間管理が、自営型副業では健康状態や本業への影響が特に重要になるのです。

企業秘密や個人情報の漏えいを防ぐため

副業先が本業と近い業界の場合、本人に悪意がなくても、社内情報が外部へ流れる危険があります。

顧客名簿、仕入れ条件、販売価格、営業資料、開発中の商品、業務マニュアルなどは、会社の大切な財産です。

本業で知った顧客へ副業の営業をしたり、社内資料を副業先で使ったりすれば、秘密保持義務や情報管理規程に反する可能性があります。

生成AIを利用した副業にも注意が必要です。

会社の会議記録、顧客情報、未公開の企画書などを外部の生成AIサービスへ入力すると、競業以前に「業務情報を社外へ持ち出した」と判断されるおそれがあります。

私がITツールの利用を支援するなかでも、見落とされやすいと感じるのが、コピーした文章をそのままAIへ貼り付ける行為です。

本人は文章を整えるだけのつもりでも、貼り付けた内容に取引先名、担当者名、売上数字、社内の判断基準が含まれていれば、情報管理上の事故につながりかねません。

防止策として、次の3つを分けて管理しましょう。

  • 本業用と副業用のパソコン
  • 本業用と副業用のメール・クラウドアカウント
  • 会社情報を扱う環境と個人利用のAI環境

会社のファイルを副業用クラウドへ誤って保存したり、個人アカウントから取引先へ送信したりする事故は、ほんの数回のクリックで起こります。

机の引き出しを仕事別に分けるように、デジタル環境にも仕切りを作っておくことが重要ですよ。

競業による会社の損害を防ぐため

勤務先と同じ商品やサービスを副業で販売すると、競業として問題になる場合があります。

たとえば、Web制作会社の社員が、勤務先の顧客へ個人的に営業し、会社と同じサービスを安く請け負えば、会社の利益を直接害する可能性があります。

ただし、本業と同じ業界で活動しただけで、直ちに違反になるとは限りません。

在職中の競業については、就業規則、雇用契約上の信義則、本人の役職、扱っている情報、顧客との関係などを踏まえて個別に判断されます。

確認したいのは、次のような点です。

  • 勤務先の顧客へ副業の営業をしていないか
  • 社内の価格情報や営業資料を利用していないか
  • 会社の設備や勤務時間を使っていないか
  • 本業の取引を個人の仕事へ誘導していないか
  • 管理職など重要情報へ触れられる立場ではないか

「同じ業界だからすべて禁止」と考えるのではなく、勤務先の顧客、情報、設備、信用を利用していないかという視点で確認すると分かりやすくなります。

会社の名誉や信用を守るため

副業の内容や情報発信の方法が、勤務先の信用に影響することもあります。

勤務先の社名や肩書を無断で使って商品を販売したり、会社公認の活動であるかのように見せたりすれば、トラブルになりかねません。

SNSで勤務先や取引先の内部情報を投稿する行為も危険です。

匿名アカウントであっても、写真、勤務地、担当業務、職歴、投稿時間、過去の発言などを組み合わせれば、本人や勤務先が推測されることがあります。

副業用SNSでは、本名を隠すだけで安心せず、勤務先や取引先を特定できる情報を出さないことが大切です。

会社員の副業禁止は法律上どう扱われる?

会社員の副業を一律に禁止する法律はありませんが、勤務先の合理的な就業規則や雇用契約には従う必要があります。

ここでは、「法律」「国の方針」「会社の就業規則」を分けて考えてみましょう。

法律は、労働者と会社が最低限守らなければならない決まりです。

厚生労働省のガイドラインは、企業と労働者が副業・兼業を適切に進めるための考え方を示したものです。ガイドラインがあるからといって、個々の会社で副業が自動的に許可されるわけではありません。

就業規則は、それぞれの会社で実際に適用される職場のルールです。

国は一律禁止ではなく個別判断を促している

2017年3月28日に策定された「働き方改革実行計画」では、副業・兼業を希望する人が柔軟に働ける環境の整備が掲げられました。

これを受け、厚生労働省は2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、モデル就業規則を改定しました。

2020年9月1日の改定では、労働時間管理や健康管理の考え方が整理され、労使双方の管理負担を軽減するための「管理モデル」も示されています。

2022年7月8日の改定では、企業に対し、副業・兼業を許容しているか、条件付きで認めているかなどの情報を公表することが推奨されました。

厚生労働省の副業・兼業に関する案内ページでは、2025年3月31日改定版のパンフレットも公開されています。

記事執筆時点の最新版でも、基本的な考え方は「副業を無条件に自由化する」というものではありません。

本業への支障、秘密漏えい、競業、信用低下などの事情がなければ、副業を一律に禁止するのではなく、内容を個別に確認する方向が示されています。

また、厚生労働省のガイドラインでは、副業・兼業について相談や自己申告をしたことだけを理由に、不利益な取り扱いをしないよう企業へ求めています。

ただし、これは副業に関係するすべての人事上の措置が、法律上当然に無効になるという意味ではありません。

実際の処分については、就業規則の内容、副業による支障、会社の損害などを踏まえて判断されます。

就業規則の内容別にどう行動すればよい?

勤務先の規定によって、働く側が取るべき行動は変わります。

就業規則の記載 始める前の行動 注意点
許可制 仕事内容や時間を整理して許可を申請する 許可前に契約や収益化を進めない
届出制 所定の様式で仕事内容や勤務時間を届け出る 届出後に変更があれば再確認する
原則禁止 禁止理由と例外規定を人事担当へ確認する 自己判断で「法律上自由」と始めない
規定なし 人事・総務へ副業の取り扱いを確認する 秘密保持や競業の義務は残る
条件付き容認 禁止業種、時間、収入、競業条件を確認する 条件を超える場合は改めて相談する

規定に「副業禁止」とだけ書かれている場合でも、どのような副業でも必ず重い処分が有効になるとは限りません。

その一方で、「法律で禁止されていないから、会社へ伝えなくてもよい」と判断するのも危険です。

就業規則の手続きを無視すれば、副業の内容に問題がなくても、説明義務や信頼関係の面で不利になる可能性があります。

※画像はAIによるイメージ

副業禁止の会社で違反するとどうなる?

無断で副業をしても、必ず解雇されるわけではありません。

実際の処分では、副業の時間や内容、本業への支障、情報漏えい、競業性、会社の損害、本人の役職、注意後の対応などが総合的に見られます。

想定される会社の対応は、次のとおりです。

  • 副業の中止や内容変更の指示
  • 口頭または書面による注意
  • 始末書やけん責
  • 減給や出勤停止
  • 悪質な場合の懲戒解雇
  • 損害が発生した場合の損害賠償請求

裁判例を比較すると、「無許可だったか」という形式だけでなく、会社へどのような支障や危険を生じさせたかが重視されていることが分かります。

副業に関する裁判例を比較

裁判例 副業内容 主な問題点 裁判所の判断 実務上の教訓
小川建設事件・東京地裁1982年11月19日決定 キャバレーで毎日約6時間、深夜まで勤務 長時間・深夜の副業による本業への支障 解雇は有効 副業時間が重く、本業への支障が強く予想されると処分が認められやすい
東京都私立大学教授事件・東京地裁2008年12月5日判決 語学学校の講師などを夜間や休日に実施 無許可の兼職と講義の休講 懲戒解雇は無効 形式的な無許可だけでなく、本業への具体的な支障が必要になる
橋元運輸事件・名古屋地裁1972年4月28日判決 管理職が競業会社の取締役に就任 経営秘密の漏えいと企業秩序への危険 懲戒解雇事由に該当 役職が高く、重要情報に触れる人ほど競業リスクを厳しく見られる

なお、この事例は資料によって「橋本運輸事件」と表記されることがありますが、全国労働基準関係団体連合会の判例情報や厚生労働省資料では、「橋元運輸事件」と表記されています。

小川建設事件では毎日約6時間の深夜副業が問題に

小川建設事件は、東京地方裁判所が1982年11月19日に決定を出した事例です。

従業員は勤務先に無断で、キャバレーの会計係などとして毎日約6時間働き、その勤務は深夜に及んでいました。

裁判所は、就業時間外は本来、労働者が自由に利用できる時間であり、会社が副業を全面的に禁止することは、特別な場合を除いて合理性を欠くとの考え方を示しました。

一方、この副業は一般的な余暇利用のアルバイトの範囲を超え、本業へ誠実に労務を提供することに支障が生じる可能性が高いと判断し、解雇を有効としています。

ポイントは、単に会社の許可を得ていなかったことではありません。

毎日約6時間、しかも深夜まで働いていたという副業の重さが、判断へ大きく影響しました。

東京都私立大学教授事件では懲戒解雇が無効

東京都私立大学教授事件は、東京地方裁判所が2008年12月5日に判断した事例です。

大学教授が許可を得ず、語学学校の講師などとして勤務していたことや、講義を休講したことなどを理由に懲戒解雇されました。

しかし、副業は主に夜間や休日に行われており、本業への具体的な支障が認められないとして、懲戒解雇は無効と判断されています。

兼職が形式上の許可制に違反していても、職場秩序に影響せず、本業への労務提供に格別の支障を生じさせない程度であれば、重い処分を正当化できないことがあるのです。

ただし、この裁判例を根拠に「本業へ支障がなければ無断でよい」と考えてはいけません。

届出をしなかったこと自体が会社との信頼関係に影響し、注意や事情説明の対象となる可能性は残ります。

橋元運輸事件では競業会社の取締役就任が問題に

橋元運輸事件は、名古屋地方裁判所が1972年4月28日に判断した事例です。

会社の管理職にある従業員が、勤務先と競争関係にある別会社の取締役に就任したことが問題になりました。

本人が競業会社の日常的な経営へ直接関与していなかったとしても、管理職として勤務先の経営上の秘密へ触れられる立場にありました。

そのため、勤務先の情報が競業会社へ漏れる可能性や、企業秩序を乱す危険が大きいと判断され、懲戒解雇事由に該当するとされています。

これは、休日に行う一般的なアルバイトとは性質が異なる事例です。

役職、情報へのアクセス権、競業先との関係によっては、実際の損害が発生する前でも、重大な危険があると評価される場合があります。

処分を左右する5つの判断軸

3つの裁判例を整理すると、副業の処分は主に次の5点で判断されます。

  1. 副業の時間や頻度はどの程度か
  2. 本業の勤務へ具体的な支障が出たか
  3. 顧客や秘密情報を利用したか
  4. 勤務先と競業する活動か
  5. 本人の役職や信頼の程度はどうか

副業の金額が少ないから安全とは限りません。

収入が数千円でも顧客情報を利用すれば重大な問題になる一方、一定の収入があっても、本業と無関係で支障がなく、正しく届出をしていれば認められることがあります。

つまり、金額よりも「時間・情報・利益・信用」のどこへ影響するかを確認することが重要です。

公務員の副業は禁止されているのはなぜ?

公務員の副業が会社員より厳しく制限されるのは、職務の公正性、秘密、公務への信用、職務への専念を守る必要があるためです。

公務員の場合、実際に不正をしたかだけでなく、公正な職務へ疑いを持たれる関係がないかも重要になります。

たとえば、許認可、補助金、行政指導、公共契約などを担当する職員が、関係企業から報酬を受ければ、実際に便宜を図っていなくても公平性を疑われる可能性があります。

国家公務員は国家公務員法で制限される

国家公務員には、国家公務員法によって次のような義務や制限があります。

  • 第99条:信用失墜行為の禁止
  • 第100条:秘密を守る義務
  • 第101条:職務に専念する義務
  • 第103条:私企業からの隔離
  • 第104条:他の事業または事務への関与制限

国家公務員が営利企業の役員になったり、自ら営利事業を営んだり、報酬を得て継続的に仕事へ従事したりする場合は、これらの法律や人事院規則に基づく確認が必要です。

単発の講演、執筆、地域活動などであっても、活動内容、継続性、報酬、職務との利害関係によって扱いが異なります。

「少額だから申請しなくてよい」と自己判断せず、所属先の服務担当へ具体的な内容を伝えることが大切です。

地方公務員は地方公務員法第38条が根拠

地方公務員については、地方公務員法第38条が営利企業への従事等の制限を定めています。

任命権者の許可を受けなければ、原則として次のような行為はできません。

  • 営利企業の役員などを兼ねる
  • 自ら営利企業を営む
  • 報酬を得て事業または事務へ従事する

具体的な許可基準や申請方法は、自治体によって異なります。

国家公務員に認められている活動が、地方公務員にも同じ条件で認められるとは限りません。

所属する自治体、教育委員会、警察、消防など、それぞれの任命権者が定める服務規程や許可基準を確認しましょう。

国家公務員の自営兼業制度は2026年4月1日に見直し

人事院は2025年12月19日、国家公務員の自営兼業制度を見直すと発表しました。

新しい制度は2026年4月1日に施行され、従来の不動産賃貸や農業などに加えて、次の事業が承認可能な対象に加えられました。

  • 職員の持つ知識や技能を生かした事業
  • 社会貢献に役立つ事業

たとえば、職員が持つ専門知識や技能を活用する事業、地域課題の解決につながる事業などが想定されます。

しかし、これは国家公務員が自由に副業できるようになったという意味ではありません。

職務遂行への支障、職務との利害関係、公務の公正性や信用などを確認し、承認基準を満たすことが前提です。

事前承認が必要な活動を、収益化してから事後報告する制度でもありません。

※画像はAIによるイメージ

副業禁止に違反しないため何を確認する?

副業を始める前は、「いくら稼げそうか」より先に、活動内容と勤務先のルールを整理しましょう。

会社員は、次の順番で確認すると迷いにくくなります。

  1. 就業規則と雇用契約書を読む
  2. 禁止制・許可制・届出制のどれかを確認する
  3. 副業の仕事内容、勤務時間、契約形態を整理する
  4. 本業の顧客、情報、設備を利用しないか確認する
  5. 必要な許可申請や届出を行う
  6. 開始後も勤務時間と体調を記録する

会社へ申請するときは、「副業を始めたいです」とだけ伝えるより、次の情報を整理しておくと話が進みやすくなります。

  • 副業先や取引先の業種
  • 具体的な仕事内容
  • 雇用契約か業務委託か
  • 1週間または1か月の予定時間
  • 作業する曜日と時間帯
  • 本業との競業関係の有無
  • 会社の情報や設備を使わないこと
  • 収益化や事業化の予定

特に見落とされやすいのが、ブログ、動画配信、SNS、オンライン講座など、収益化する前から始める活動です。

趣味として投稿を始めた段階では収入がなくても、広告を掲載したり、企業案件を受けたり、継続的に商品を販売したりすると、活動の性質が変わります。

私は、「最初の投稿をした日」だけで判断するのではなく、次の節目でルールを再確認する方法が現実的だと考えます。

  • 広告や投げ銭などの収益化を開始するとき
  • 企業から案件や報酬の提案を受けたとき
  • 継続的に商品やサービスを販売するとき
  • 本業と近い分野の情報発信を始めるとき
  • 開業や事業化を検討するとき

公務員については、収益化前の準備活動であっても、将来の営利事業を前提として継続的に行う場合、所属先への確認が必要になる可能性があります。

「まだ1円も稼いでいないから副業ではない」と自己判断せず、予定している活動を具体的に説明して確認しましょう。

副業禁止ルールは今後どう変わる?筆者の見解

私は、副業禁止を「許可されるか、禁止されるか」という二択だけで考えないほうがよいと思います。

大切なのは、副業によってどのような危険が生じるのかを分けて確認することです。

私なりに整理すると、副業のリスクは次の4つに分けられます。

  • 時間のリスク:長時間労働や睡眠不足で本業に支障が出る
  • 情報のリスク:顧客情報や社内資料を外部へ持ち出す
  • 利益のリスク:会社の顧客や商機を個人の仕事へ移す
  • 信用のリスク:勤務先の肩書や公務員の立場を不適切に利用する

この4つを確認すれば、「副業だから危険」という曖昧な話から、「どの部分に危険があるのか」という具体的な話へ変えられます。

裁判例でも、形式的な無許可だけではなく、毎日約6時間の深夜労働、競業会社との関係、本業への具体的な支障、本人の役職などが重視されていました。

今後は企業側にも、「副業は禁止です」とだけ伝えるのではなく、禁止する仕事内容、届出方法、審査の基準を分かりやすく示す姿勢が求められると考えます。

2026年4月1日に施行された国家公務員の自営兼業制度の見直しも、こうした流れの一つとして注目されます。

ここからは筆者の見通しですが、国家公務員の承認対象が広がったことで、地方自治体や民間企業でも「一律禁止ではなく、利益相反や職務への支障を審査する」という考え方が、これまで以上に意識される可能性があります。

ただし、国家公務員の制度変更が、そのまま地方公務員や民間企業へ適用されるわけではありません。

自治体や企業が独自のルールを整えるには、情報管理、労働時間、利害関係、事故発生時の責任まで具体的に設計する必要があります。

特に生成AIを使った副業では、競業問題より先に、情報管理の事故が起こることも考えられます。

  • 会社のデータを外部AIへ入力しない
  • 会社のアカウントや端末を使わない
  • 社内資料を副業の成果物へ流用しない
  • 本業と副業のファイル保存先を分ける
  • AIへ入力する前に固有名詞や機密情報を確認する

このような基本動作を決めておくだけでも、誤送信や誤入力の危険を減らせます。

副業で収入を増やすことは、将来への備えとして意味のある選択肢です。

しかし、本業を失ったり、信用を損ねたり、健康を崩したりしては、生活がかえって不安定になります。

就業規則は、自分の挑戦を妨げる壁ではなく、本業、健康、信用を守るための安全柵として確認していきましょう。

まとめ

副業が禁止・制限される主な理由は、本業への支障、情報漏えい、競業、会社や公務への信用低下を防ぐためです。

会社員の副業は法律で一律に禁止されていませんが、勤務先が許可制や届出制を設けている場合は、その手続きに従う必要があります。

無断副業を理由とする処分では、副業の時間、本業への具体的な支障、情報漏えい、競業性、会社の損害、本人の役職などが総合的に判断されます。

公務員は国家公務員法や地方公務員法による制限を受けるため、会社員以上に事前確認が重要です。

国家公務員の自営兼業制度は2026年4月1日に見直されましたが、全面自由化ではありません。承認基準を満たし、必要な手続きを済ませることが前提です。

副業を始める際は、仕事内容、契約形態、勤務時間、情報の扱いを整理し、勤務先へ必要な申請や届出を行ってから進めていきましょう。

よくある質問

副業禁止の会社で副業をしたら必ず解雇されますか?

必ず解雇されるわけではありません。

副業の時間や頻度、本業への支障、情報漏えい、競業、会社の損害、本人の役職などを総合して判断します。ただし、無断で始めると信頼関係の問題になりやすいため、事前確認が必要です。

業務委託の副業でも会社へ申告する必要がありますか?

勤務先の就業規則によって異なります。

業務委託は雇用型副業と同じ方法で労働時間を通算するものではありませんが、本業への支障、情報漏えい、競業などは問題になります。規則が「他社への雇用」だけでなく「事業への従事」も対象としているか確認しましょう。

公務員は2026年から自由に副業できますか?

自由に副業できるようになったわけではありません。

国家公務員の自営兼業制度は2026年4月1日に見直されましたが、職務への支障、利害関係、公務の公正性や信用を確認する承認手続きが前提です。地方公務員は地方公務員法第38条と所属自治体の許可基準を確認してください。

主な出典・参考資料

  • 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
  • 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」パンフレット・2025年3月31日改定版
  • 厚生労働省「モデル就業規則」第14章第68条
  • 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン Q&A」
  • e-Gov法令検索「労働基準法」第38条
  • e-Gov法令検索「国家公務員法」第99条、第100条、第101条、第103条、第104条
  • e-Gov法令検索「地方公務員法」第38条
  • 人事院「自営兼業制度の見直しについて」2025年12月19日発表
  • 人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」
  • 全国労働基準関係団体連合会「小川建設事件」東京地方裁判所1982年11月19日決定
  • 厚生労働省「副業・兼業に関する裁判例」
  • 全国労働基準関係団体連合会「橋元運輸事件」名古屋地方裁判所1972年4月28日判決
  • 東京都私立大学教授事件・東京地方裁判所2008年12月5日判決

参照日:2026年8月2日

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